【米国市場:2025年11月3日週】今週の振り返り & 来週のトピック (市場動向、ETF、ADP雇用者数、パランティア/ロビンフッド/アップラビンなどの決算)

投資関連

こんにちは、Saabです。今週の振り返りと来週のトピックです。

   2025年10月27日週分はこちら

(↓)まず要点です。

  • 今週はAI株の過熱懸念と経済不透明感で変動
  • マグ二フィセント7や時価総額の高い銘柄がS&P500の下げを主導
  • 1週間では主要株価指数は全てマイナス
  • ディストリビューションデイはS&P500で6回とNASDAQで2回
  • ファクトセットによるとS&P500の12カ月先PERは22.7倍で割高
  • センチメントは弱気に傾く可能性あり
  • S&P500は今週で10日移動平均線と21日指数移動平均線を下回る
  • S&P500は目先、50日移動平均線をわりこまないか?10/10につけた安値をわりこまないか?に注目
  • ADP雇用者数はポジティブサプライズ
  • 決算クリアしたときに過少評価、ミスしたときに過大評価されている印象
  • 来週の決算は19社チェック予定
  • 来週は、政府閉鎖下の米データ不足/欧州の雇用悪化/中国の投資減退が主要リスク要因となる恐れあり

それでは順に詳細をみていきます。

11/3週の振り返り

総括

今週の米国株はAI株の過熱懸念と経済不透明感で変動しました。週初はAI関連とAmazonなどの好材料で上昇しましたが、火曜にテック中心で急落。水曜は堅調な雇用統計と関税リスク後退で一時反発したものの、木曜に再びAI懸念で下落しました。金曜は政府閉鎖解消期待で持ち直しました。

AI株のボラティリティが相場を左右し、高PERへの警戒が続く一方、防衛的セクターへの資金シフトが見られ、短期的な利益確定とリスク回避を意識しつつ、AI評価と景気指標の綱引きが今後の相場の焦点となる週でした。

11/3~11/7の動向

11/3(月)米国株はまちまち、AI関連が注目
S&P500は0.3%上昇、ナスダックは0.5%上昇、ダウは210ポイント下落しました。Nvidiaは1.1%上昇した一方、マイクロソフトは1.1%下落。マイクロソフトはUAE向けGPU輸出ライセンスと97億ドル規模のGPUクラウド契約を確認しました。ISM製造業指数が48.7で低調を示したため、素材・不動産株は軟調でした。Apple(-1.7%)、Meta(-1.6%)、Broadcom(-2.9%)が下落。Kimberly-ClarkがKenvueへの480億ドル提案で12.5%急落、Kenvueは14.5%上昇。AmazonはOpenAIとの380億ドルパートナーシップ報道で3.6%上昇。


11/4(火)AI株急落で米株全面安
AI関連の過熱懸念と経営者の慎重見通しで、テック株が軒並み下落したことにより、S&P500は1.1%下落、ナスダックは2.1%、ダウは240ポイント安となりました。Palantir(-8.1%)、Nvidia(-2.7%)、AMD(-2.1%)、Oracle(-2.6%)が大幅安を記録しました。S&P500の予想PERが23倍超となり、AI株の反動調整懸念が強まり、ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーの幹部は「10〜20%の下落可能性」を示唆しました。テクノロジー、エネルギー、産業が下落主導、防御的消費財や金融が堅調で、ブラックロックは3.3%上昇しました。


11/5(水)米株反発、雇用統計が支え
S&P500は0.4%、ナスダックは0.8%、ダウは270ポイント上昇。火曜下落後の買い戻しが優勢。最高裁がトランプ関税訴訟で懐疑的質問、関税リスク後退が好感。ADP雇用統計とISMサービス指数が堅調で景気楽観を支援。Alphabet(+2.4%)、Meta(+1.4%)、Broadcom(+1.8%)、Tesla(+2.7%)が上昇。Palantir(-1.5%)やSuper Micro Computer(-12.2%)は反発限定で選別的。


11/6(木)AI懸念再燃で急落
AI・テック株への圧力が再燃し、S&P500は1%安、ナスダックは1.7%安、ダウは317ポイント下落しました。Qualcomm(-4.5%)、AMD(-7%)、Nvidia(-3.8%)、Microsoft(-1.8%)、Amazon(-2.3%)、Meta(-2.7%)が下落。10月のレイオフは15.3万人と22年ぶり高水準、大部分がAI統合・コスト最適化関連。政府機関閉鎖で経済指標が不足する中、民間データに依存しリスク回避が加速しています。


11/7(金)米株、終盤に回復
共和党が縮小案を拒否したものの、合意期待でリスクセンチメント改善したことで、政府閉鎖解消期待でS&P500・ダウは0.3%上昇、ナスダックはほぼ横ばいでした。ミシガン大学消費者信頼感は11月に過去2番目に悪化。消費防衛・エネルギー株(エクソンモービル、Tモバイル、コカ・コーラ)が2%超上昇。AI株は依然重く、Tesla(-4%)、Meta・Oracle(-2%)が下落しました。

その結果、主要株価指数全てで1%以上の下落を記録。

  • S&P500 -1.63%
  • NASDAQ -3.09%
  • ダウ -1.21%
  • ラッセル2000 -1.88%

【S&P500の5分足チャート】 
 ※TradingView提供のチャート

S&P500の5分足チャート

【NASDAQの5分足チャート 
 ※TradingView提供のチャート

NASDAQの5分足チャート

【ダウの5分足チャート 
 ※TradingView提供のチャート

ダウの5分足チャート

※インド・中国・日本などは以下参照
 リンク

セクター毎の動きでは、以下の棒グラフからもわかるように、テクノロジーがS&P500の下げを主導しました。

【米国株の各セクターの週間パフォーマンス (出典:finviz) 

米国株の各セクターの週間パフォーマンスの棒グラフ

以下のヒートマップからもわかるように、MSFT/NVDA/AVGO/GRCL/TSLA/METAなどがS&P500指数の下げに貢献したと思われます。その結果、週を通じてS&P500は-1.63%だったのに対し、RSPは-0.20%でした。

【SP500のヒートMap:週間 (出典:finviz) 

【S&P500のチャート】 
 ※TradingView提供のチャート

S&P500のチャート

↑S&P500は週を通じて下落基調でした。一時、50日移動平均線を下にわったものの、そこから反発して現在は21日指数移動平均線と50日移動平均線の間で推移。

目先は、50日移動平均線でもちこたえるかに注目です。もし50日移動平均線をきった場合、10/10につけた安値6550.78を死守できるかに注目です。

最後にディストリビューションデイですが、先週からS&P500、NASDAQともに1回づつ減少しました。現在のカウント数は、S&P500で6回、NASDAQで2回です。

米国のセクターETF 年初来パフォーマンス BEST5

今週は1~4位変動なしですが、先週とは異なり公益セクターが5位にランクインして、その代わりに通信セクターがトップ5から外れました。

  1. GLD(ゴールド):51.09%(→)
  2. XSD(半導体):33.78%(→)
  3. XLK(テクノロジー):24.36%(→)
  4. XBI(バイオ):21.35%(→)
  5. XLU(公益):16.87%(↗)

カントリーETF 年初来パフォーマンス BEST5

今週はトップ5での順位変動はなかったものの、半導体が世界的に下がったため、半導体の比率が高い韓国のETF(EWY)は大きな下落をみせました。

  1. EWY(韓国):83.75%(→)
  2. EWP(スペイン):63.12%(→)
  3. EPOL(ポーランド):62.67%(→)
  4. GREK(ギリシャ):61.05%(→)
  5. COLO(コロンビア):60.83%(→)

※各セクター&カントリーETFの詳細は以下参照
 リンク

S&P500のバリュエーション

2025年10月31日に発行されたファクトセットのレポートによると、S&P500の12カ月先PERは22.7倍で、5年平均20.0倍と10年平均の18.6倍を上回っています。

また、実績PERは現在29.0倍となっており、5年平均の25.1倍と10年平均の22.8倍を上回っています。

参考までに “Macrotrends LLC” に掲載されている実績PERの最新値は、29.83倍となっています。

これは、ドットコムバブル時の天井である2000年3月の29.41倍とほぼ同水準で、コロナ禍から復活したブル相場の天井とされる2021年12月の24.09倍より高い値です。

S&P500 Trailing PER 1950/1/1~2025/11/8
(出典:Macrotrends LLC)

センチメント

VIXの上昇やS&P500指数の値動きを観察したところ、先週とはうって変わって弱気に傾いてきました。金曜にはS&P500がザラバで一時50日移動平均線を下回りましたが、来週は終値で50日移動平均線を下回らないか注目です!!

以下、センチメントに関わる数値などです。

  • 「VIX」は、先週末の17.44から19.08で上昇。
  • 「Put Call Ratio」は、先週末の0.72から0.75でほぼ横ばい。
  • S&P500は、今週で10日と21日移動平均線を下回り、現在は50日移動平均線の上で推移しています。

※ INVESTOR’S BUSINESS DAILYの値引用

VIXのチャート】
 ※TradingView提供のチャー

VIXのチャート

↑1週間で上昇基調でしたが、金曜は一時大きくVIXが上昇したものの、政府閉鎖解消期待で終値で下落しました。

経済指標&イベント

以下、今週確認してきた内容の結果です。

ポジティブサプライズ

  • 米・ADP雇用者数
  • 米・ISM非製造業景況指数

ネガティブサプライズ

  • 米・ISM製造業景況指数
  • 米・ミシガン大学消費者信頼感指数

ノンサプライズ

  • なし

米・ISM製造業景況指数

48.7(前月49.1) に低下し、予測49.5を下回るネガティブサプライズでした。これで8か月連続の縮小です。

米・ISM製造業景況指数のグラフ

業種別
拡大は食品・飲料・たばこ製品と輸送機器の2業種のみ。

主要項目
 - 生産:48.2(縮小)
 - 新規受注:48.9(縮小)
 - 在庫:47.7(縮小)
 - 受注残:46.2(縮小)
 - 雇用:45.3(減少続く)

企業動向
67%が「採用より人員維持」を選択。

価格・供給
価格圧力は58(緩和)。納品性能は3か月連続で低下。

米・ADP雇用者数

10月は 42,000人増加で予想38,000人を上回るポジティブサプライズでした。この結果は9月の29,000人減少から回復しています。

米・ADP雇用者数のグラフ

サービス生産部門
 +33,000人増。主な増加は
 - 貿易・輸送・公益:+47,000人
 - 教育・医療サービス:+26,000人
 - 金融活動:+11,000人
 一方で、
 - 専門・ビジネスサービス:−15,000人
 - 情報:−17,000人
 - レジャー・ホスピタリティ:−6,000人(3か月連続減)

財貨生産部門
 +9,000人増。内訳は
 - 天然資源・鉱業:+7,000人
 - 建設:+5,000人
 - 製造業:−3,000人

賃金動向
 賃金成長率は前年同月比で
 - 転職なし:4.5%
 - 転職あり:6.7%
 → 1年以上横ばいで、需給が均衡。

米・ISM非製造業景況指数

50→52.4に上昇し、予測50.8を上回るポジティブサプライズでした。

米・ISM非製造業景況指数のグラフ

内訳動向
ビジネス活動54.3(前月49.9)、新規受注56.2(同50.4)と回復。

雇用
48.2(同47.2)と縮小継続、経済への信頼不足を示唆。

コメント
Miller議長は「広範な解雇なしも政府シャットダウンが懸念を誘発」と発言。

受注残高
40.8(同47.3)で3年半の減少傾向継続。

価格動向
70(同69.4)と上昇、関税がコスト押上要因。

米・新規失業保険申請件数

政府閉鎖のため発表なし。

米・雇用統計

政府閉鎖のため発表なし。

米・ミシガン大学消費者信頼感指数(速報)

50.3となり前月の53.6から低下し、予想53.2を下回るネガティブサプライズ。

米・ミシガン大学消費者信頼感指数(速報)のグラフ
  • 要因:政府閉鎖の影響懸念で信頼感が悪化、2022年6月以来2番目の低水準
  • 現況指数:52.3(史上最低)、個人財政評価が17%減
  • 期待指数:49.0(6か月ぶり低水準)、1年後ビジネス期待11%減
  • 層別動向:株式保有上位層以外で信頼感低下
  • インフレ期待:1年後4.7%(↑)、長期3.6%(↓)

決算

今週は50社チェックしました。全体的にクリアしたときに過少評価、ミスしたときに過大評価されている印象です。

・10%以上値上がりした銘柄
➡U,DDOG,MP
・10%以上値下がりした銘柄
➡NCLH,SMCI,PINS,HOOD,ELF

2025/11/3 決算発表 ~BRK.B,PLTR,HIMSなど~

2025/11/4 決算発表 ~AMD,SMCI,AXONなど~

2025/11/5 決算発表 ~CCJ,HOOD,APPなど~

2025/11/6 決算発表 ~VST,MP,CMIなど~

2025/11/7 決算発表 ~CEG,WEN,DUK~

11/10週の注目内容

関心のある経済指標&イベント

来週は以下の経済指標&イベントに注目です。

  • 11/12(水) 独・CPI
  • 11/13(木) 米・CPI
  • 11/13(木) 米・新規失業保険申請件数
  • 11/14(金) 欧・ユーロ圏GDP(改訂)
  • 11/14(金) 米・小売売上高
  • 11/14(金) 米・PPI

関心のある決算

来週は19社チェック予定です。
個人的にVEON・NU・YALAは注目してます!!

  • 11/10(月)プレ バリック(B)
  • 11/10(月)プレ マンデードットコム(MNDY)
  • 11/10(月)プレ ヴィオン(VEON)
  • 11/10(月)アフター ヤッラー(YALA)
  • 11/10(月)アフター リゲッティ(RGTI)
  • 11/10(月)アフター コアウィーブ(CRWV)
  • 11/10(月)アフター ロケットラボ(RKLB)
  • 11/10(月)アフター プラグパワー(PLUG)
  • 11/10(月)アフター オキシデンタルペトロリウム(OXY)
  • 11/11(火)プレ シー(SE)
  • 11/11(火)アフター オクロ(OKLO)
  • 11/12(水)プレ サークル(CRCL)
  • 11/12(水)プレ オンホールディングス(ONON)
  • 11/12(水)アフター シスコシステムズ(CSCO)
  • 11/12(水)アフター ディーローカル(DLO)
  • 11/13(木)プレ ディズニー(DIS)
  • 11/13(木)プレ JDドットコム(JD)
  • 11/13(木)アフター アプライドマテリアルズ(AMAT)
  • 11/13(木)アフター ヌーホールディングス(NU)

来週は、世界的に景気減速とインフレ調整が進む中、「政府閉鎖下の米データ不足」「欧州の雇用悪化」「中国の投資減退」が主要リスク要因となる恐れがあるため、それらの影響を観察したいと思います。

それでは、また👋

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