【米国市場:2025年12月1日週】今週の振り返り & 来週のトピック (市場動向、ETF、PCEデフレータ、ミシガン大学消費者信頼感指数、マーヴェル/クラウドストライク/メイシーズなどの決算)

投資関連

こんにちは、Saabです。今週の振り返りと来週のトピックです。

   2025年11月24日週分はこちら

↓主な内容は以下参照。

  • 今週は利下げ期待が相場を押し上げる一方、経済指標や金利の変動で指数の値動きは上下したものの、緩やかに上昇した1週間
  • 主要指数は全てプラスを記録しており、最高値目前で推移中
  • テクノロジーと通信が上昇を牽引したものの幅広い銘柄で上昇を確認
  • ディストリビューションデイはSP500で5回/NASDAQで5回
  • センチメントは強気に傾いているが、米国株はバリューエーションが高いため引き続き警戒
  • ネガティブな経済指標を利下げ期待を高める好材料として市場は消化
  • 中小型株が多いためか決算後の値動きはボラが激しい印象
  • 来週の決算は9社チェック予定
  • 来週は、FOMCやオラクル&ブロードコムの決算に注目

それでは順に詳細をみていきます。

12/1週の振り返り

総括

今週の米国株は 利下げ期待が相場を押し上げる一方、雇用指標や金利の変動で日々の値動きは上下しました。週前半は仮想通貨やAI関連の利益確定売りがおもしとなり下落スタートとなりましたが、ADP雇用統計の弱さや落ち着いたPCEが買い材料となり、FRBの12月利下げ観測が急速に高まったことで、週後半は持ち直しました。

特に、

  • 金融・ディフェンシブ株の上昇
  • 大型テックの買い戻し
  • データセンター・AI関連の物色継続

が相場を下支えしました。金利が一時上昇したことで大型テクノロジー株に調整が入る局面もありましたが、FRBのハト派見通しがその影響を相殺しました。

総じて、「利下げ期待が市場心理を支え、調整と反発を繰り返しながらも、週を通じて緩やかな上昇となった週」と評価できます。

12/1~12/5の動向

12/1(月)米国株は5連勝がストップ
翌週のFOMCや遅延する9月PCEなど重要指標を控え、投資家は慎重姿勢に転換したことで、米国株は12月入りで反落し、S&P500 は0.53%、ナスダックは0.38%、ダウは0.9%下落しました。ビットコインが6%以上急落しリスクオフが拡大、Coinbase など仮想通貨関連株が下落しました。AI関連も利益確定売りで Broadcom が急落し、Microsoft・Alphabet・Meta も軟調でした。一方、Nvidia が Synopsys 投資を発表し、Synopsys は上昇。小売株はホリデー商戦期待で買われました。


12/2(火)米国株が反発
ビットコインの回復がリスク志向を支え、AI・ソフトウェア株も持ち直したことで、前日の広範な下落後、米国株は反発し S&P500 は0.3%上昇、ナスダックは0.9%上昇しました。Nvidia・Palantir が上昇する一方、Broadcom には引き続き利益確定の売りがはいりました。大型株よりも、ボーイング(+10%)、インテル(+8.7%)などの個別株が相場を牽引しました。国債利回りは上昇し相場の上値を抑える働きとして作用しました。


12/3(水)利下げ観測強まり株高続く
米国株は利下げ期待の高まりを背景に続伸し、ダウは0.86%上昇しました。これはADP雇用統計で民間雇用が予想外の32,000人減となり、FRBの政策緩和観測が強まったことによるものです。金融株が上昇し、ウェルズ・ファーゴとシティは約3.5%高。ユナイテッドヘルスも4.7%上昇しました。AI半導体関連ではマーベルがデータセンター需要増のガイダンスを出し7.9%上昇。


12/4(木)指標待ちで小動き、金利上昇で大型テックは軟調
PCE発表とFOMC決定を控え、主要3指数は横ばいの動きとなりました。ADPの弱い雇用・チャレンジャーのレイオフ増など混在した雇用シグナルが金利低下期待を支える一方、10年債利回りが4.1%へ上昇し、大型テクノロジー株に売り圧力が入りました。インテルが7.5%急落、アマゾン・アップルなども下落。一方、メタはメタバース投資削減観測で3.4%上昇しました。景気敏感の小型株やセールスフォースなどが堅調な動きを展開。


12/5(金)軽いPCEと強い信頼感で株は上昇
9月コアPCEは0.2%上昇と落ち着いた伸びにとどまり、インフレ沈静化が確認されたことで、S&P500 +0.2%、ナスダック +0.4%となりました。ミシガン大学信頼感指数も改善し、FRBの25bp利下げ観測が87%に上昇。メガテックが上昇を牽引し、アルファベット・メタ・ブロードコムが堅調でした。ネットフリックスは新契約発表後に下落しましたが、規制懸念で下げ幅を縮小しました。

その結果、主要株価指数の週間パフォーマンスは以下の通り。

  • S&P500 +0.31%
  • NASDAQ +0.91%
  • ダウ +0.50%
  • ラッセル2000 +0.84%

【S&P500の5分足チャート】 
 ※TradingView提供のチャート

S&P500の5分足チャート

【NASDAQの5分足チャート 
 ※TradingView提供のチャート

NASDAQの5分足チャート

【ダウの5分足チャート 
 ※TradingView提供のチャート

ダウの5分足チャート

※インド・中国・日本などは以下参照
 リンク

【米国株の各セクターの週間パフォーマンス (出典:finviz) 

米国株の各セクターの週間パフォーマンス(出典:finviz)

↑セクター毎の動きでは、以下の棒グラフからもわかるように、テクノロジーや通信が上昇を牽引しました。一方で、公益/ヘルスケア/不動産が下げを主導しました。

【S&P500の週間ヒートMap (出典:finviz) 

S&P500の週間ヒートMap(出典:finviz)

↑公益/ヘルスケア/不動産などが売られているのがマップからもわかります。ビックテックは銘柄によってパフォーマンスはまちまちですが、様々なセクターで上昇がみられました。

【ADライン(出典:Market In Out) 

↑ADラインからもわかるように幅広い銘柄で上昇していることが確認。現在S&P500の均等ウェイトであるETF(RSP)は過去史上最高値とツラの位置で推移しています。

【S&P500の日足チャート】 
 ※TradingView提供のチャート

S&P500の日足チャート

↑大きな動きはなかったものの、週を通じて小幅上昇しました。現在すべての移動平均線を上回っており、最高値付近で推移しています。

【NASDAQの日足チャート】 
 ※TradingView提供のチャート

NASDAQの日足チャート

↑S&P500と同様週を通じて小幅上昇しました。こちらはS&P500より高値までのギャップがほんの少し大きいですが、すべての移動平均線を上回っているのはポジティブな状況といえます。

【ダウの日足チャート】 
 ※TradingView提供のチャート

ダウの日足チャート

↑上記でふれた2つの指数と同様に最高値付近で推移しています。

【ラッセル2000の日足チャート】 
 ※TradingView提供のチャート

ラッセル2000の日足チャート

↑今週は一時過去史上最高値をテストしましたが、上値で跳ね返されています。来週この最高値をこえていけるかに注目です!!

最後にディストリビューションデイですが、12/5時点では、SP500は5回、NASDAQは5回となっています。週を通じてS&P500はカウント数が減少しています。
・12/1 SP500:7回/NASDAQ:5回
・12/2 SP500:7回/NASDAQ:5回
・12/3 SP500:6回/NASDAQ:5回
・12/4 SP500:5回/NASDAQ:5回
12/5 SP500:5回/NASDAQ:5回

米国のセクターETF 年初来パフォーマンス BEST5

先週から比べるとFOMCの利下げ期待を背景に半導体や通信が上昇をみせており、ランクアップしています。

  1. GLD(ゴールド):59.6%(→)
  2. XSD(半導体):37.64%(↗)
  3. XBI(バイオ):37.03%(↘)
  4. XLK(テクノロジー):26.1%(→)
  5. XLC(通信):20.99%(↗)

カントリーETF 年初来パフォーマンス BEST5

先週から半導体が上昇したことで再び韓国が上昇したことで、2位とのギャップを拡大させました。順位変動も見られ、4位と5位にアフリカとコロンビアがランクインしたことで、ポーランドと南アフリカがトップ5圏外にはじかれました。

  1. EWY(韓国):85.3%(→)
  2. GREK(ギリシャ):71.31%(→)
  3. EWP(スペイン):68.41%(→)
  4. AFK(アフリカ):63.35%(↗)
  5. COLO(コロンビア):62.5%(↗)

※各セクター&カントリーETFの詳細は以下参照
 リンク

S&P500のバリュエーション

2025年12月5日に発行されたファクトセットのレポートによると、S&P500の12カ月先PERは22.4倍で、5年平均20.0倍と10年平均の18.7倍を上回っています。

また、実績PERは現在28.3倍となっており、5年平均の25.0倍と10年平均の22.9倍を上回っています。

参考までに”Macrotrends LLC” に掲載されている実績PERの最新値は、30.40倍となっており、1950/1~2025/11月の平均値18.82を大幅に上回っています。

またドットコムバブル時の天井である2000年3月の29.41倍とほぼ同水準で、コロナ禍から復活したブル相場の天井とされる2021年12月の24.09倍よりも高い値となっています。

※グレーはリセッション

S&P500 Trailing PER 1950/1/1~2025/11/28
(出典:Macrotrends LLC)

センチメント

VIXやPut Call Ratioの水準、ブルベア指数、S&P500指数の値動きから再び強気に傾いています。以下、センチメントに関わる数値などです。

  • 「VIX」は、先週末の16.35から15.41に下落。
  • 「Put Call Ratio」は、先週末の終値0.72から0.66に下落。
  • 「ブルベア指数」は、ブル50vsベア18.2。
  • S&P500は、現在すべての移動平均線を上回って過去史上最高値付近を推移しています。

※ INVESTOR’S BUSINESS DAILYの値引用

VIXのチャート】
 ※TradingView提供のチャー

VIXのチャート

↑週を通じてVIXは下落基調。10月上旬以来の低い値を記録。

Put Call Ratio(出典:IBD)】

【Put Call Ratio(出典:IBD)】

↑1週間を通して下げ基調。

ブルベア指数(出典:IBD)

【ブルベア指数(出典:IBD)】

↑水曜にブル上昇、ベア下落。その後は横ばい。

経済指標&イベント

以下、今週確認してきた内容の結果です。全体的にネガティブサプライズが多いですが、それらが利下げ期待を高める好材料として消化されました。

ポジティブサプライズ
・米・ISM非製造業景気指数
・米・ミシガン大学消費者信頼感指数(速報)
・米・新規失業保険申請件数

ネガティブサプライズ
・米・ISM製造業景気指数
・欧・ユーロ圏消費者物価指数
・欧・ユーロ圏失業率
・米・ADP雇用者数

ノンサプライズ
・米・鉱工業生産指数
・欧・ユーロ圏GDP
・米・PCEデフレータ

米・ISM製造業景気指数

48.2で予想48.6を下回るネガティブサプライズでした。これで9か月連続の縮小を記録しました。

米・ISM製造業景気指数のグラフ
  • 主因:サプライヤー納入・新規受注・雇用の悪化
  • 企業動向:67%が採用より人員削減を継続
  • 価格・受注残:価格圧力強まり、受注残は一段減少
  • 改善点:生産が回復、在庫減少は緩和
  • GDP寄与:製造業で58%のセクターが収縮、GDPの収縮影響は39%に僅か低下

欧・ユーロ圏失業率

10月は6.4%で予想6.3%を上回るネガティブサプライズでした。

欧・ユーロ圏失業率のグラフ
  • 人数:失業者は1.3万人減の1103.3万人
  • 若年層:失業率14.8%で横ばい
  • 主要国差:スペイン10.5%、フランス7.7%、イタリア6%、ドイツ3.8%、オランダ4%
  • 前年比較:6.3%からわずか上昇
  • EU全体:6%で6か月横ばい

欧・ユーロ圏消費者物価指数

総合は11月2.2%に上昇し、予想2.1%を上回るネガティブサプライズでした。

欧・ユーロ圏消費者物価指数のグラフ
  • 品目別:サービス3.5%に加速、エネルギー下落幅縮小。工業品0.6%、食品2.5%は横ばい
  • コアインフレ:2.4%で横ばい(予想下回る)
  • 主要国差:ドイツは2.6%と加速。スペイン3.1%へ小幅緩和、オランダ2.6%へ低下。フランス0.8%、イタリア1.1%と目標大幅下回り

米・ADP雇用者数

32,000人減で、予想+21,000人に反し減少となりネガティブサプライズでした。これは2023年3月以来最大の減少となります。

米・ADP雇用者数のグラフ
  • 企業規模別:小規模企業 -120,000人、中規模 +51,000人、大企業 +39,000人。
  • 産業別:製造 -18,000、専門・ビジネス -26,000、情報 -20,000などが減少。教育・医療 +33,000、レジャー +13,000などが増加。
  • 賃金動向:年収+4.4%、転職者+6.3%(伸び鈍化)。
  • 背景:消費者慎重、経済不確実で雇用不安定。

米・鉱工業生産指数

前月比 +0.1%で予想と一致しました。

米・鉱工業生産指数のグラフ
  • 公益事業:+1.1%、電力 +1.3%、天然ガス -0.4%
  • 鉱業:変化なし(前月 +0.4%後)
  • 製造業:横ばい(+0.1%)
    • 耐久財:+0.1%、航空宇宙等 +1.4%、加工金属 +1.2%、電子製品 +0.7%
    • 自動車 -2.2%、機械 -0.1%
    • 非耐久財:-0.1%、化学 -0.2%、食品・飲料・たばこ 横ばい

米・ISM非製造業景気指数

52.4→52.6 に上昇し、9か月ぶりの強い成長をみせました。これは予想52.1を上回るポジティブサプライズでした。

米・ISM非製造業景気指数のグラフ

内訳
・ビジネス活動:54.5(小幅上昇)
・新規受注:52.9(引き続き拡大)
・受注残:49.1(2月以来の高水準)

企業環境
・関税・政府シャットダウンが需要とコストに影響。

雇用・供給
・雇用は縮小継続(48.9)。
・サプライヤー納期は遅延(54.1)、航空交通混乱や税関影響が要因。

価格
・価格指数は65.4と7か月ぶり低下。

米・新規失業保険申請件数

191,000件となり、市場予想の22万件を大きく下回るポジティブサプライズとなりました。これは、2022年9月以来の最低水準で、4週連続減少となります。

米・新規失業保険申請件数のグラフ

継続申請
4,000件減の193.9万件

全体評価
解雇は減少傾向。一方で採用は鈍化し、失業保険申請水準はパンデミック直後より高めで推移。

欧・ユーロ圏GDP

予想どおりの前年比:+1.4%(Q1・Q2の+1.6%から減速)でした。

欧・ユーロ圏GDPのグラフ

需要項目
・家計支出:1.1%(減速)
・投資:2.5%(減速)
・政府支出:1.7%(加速)
・輸出:2.7%(加速)
・輸入:3.6%(加速)

主要国の動向
・スペイン:2.8%
・オランダ:1.6%
・フランス:0.9%
・イタリア:0.6%
・ドイツ:0.3%
・ベルギー:1.0%

前期比
・+0.3%(Q2の+0.1%から改善、初期推定0.2%を上回る)

米・PCEデフレータ

9月は総合&コアいずれも2.8%となっており、いずれも市場予想と同じだったため、ノンサプライズでした。

米・PCEデフレータのグラフ

内訳
・物価全体:+0.5%(前月0.1%から加速)
・サービス価格:+0.2%(8月0.3%から鈍化)
・食品:+0.4%
・エネルギー:+1.7%

その他
・PCEはFRBが重視するインフレ指標。
・今回の発表は 政府閉鎖により1か月以上遅延。

米・ミシガン大学消費者信頼感指数(速報)

予想52を上回る53.3となるポジティブサプライズとなりました。

米・ミシガン大学消費者信頼感指数(速報)のグラフ

労働市場の見方
期待はわずかに改善したが、歴史的には依然悲観的。

インフレ期待
1年後:4.5% → 4.1%(1月以来の低水準)
5年後:3.4% → 3.2%
関税による物価急騰は未発生。
物価見通しは依然不確実性が高い。

決算

今週は23社チェックしました。中小型株が多いためか決算後の値動きは、ボラティリティが激しい印象でした。

・10%以上値上がりした銘柄
➡CRDO,MDB,AEO,PATH,DG,IOT,ULTA
・10%以上値下がりした銘柄
➡GTLB,PSTG,SNOW,S,AGX

2025/12/1 決算発表 ~CRDO,MDB~

2025/12/2 決算発表 ~MRVL,CRWD,AEOなど~

2025/12/3 決算発表 ~M,CRM,SNOWなど~

2025/12/4 決算発表 ~KR,DOCU,ULTAなど~

12/8週の注目内容

関心のある経済指標&イベント

来週は以下の経済指標&イベントに注目です。これらのうち、FRB政策金利は注目ですね!!12/7時点のFedWatchツールによると、12/10の会合では0.25%の利下げ86.2%、利下げ無し13.8%がおりこまれています。

  • 12/10(水) 米・FRB政策金利
  • 12/11(木) 米・新規失業保険申請件数
  • 12/12(金) 独・CPI

関心のある決算

来週は9社チェック予定です。

  • 12/9(火)プレ オートゾーン(AZO)
  • 12/9(火)プレ オリーズ・バーゲン・アウトレット(OLLI)
  • 12/9(火)アフター ブレイズ(BRZE)
  • 12/10(水)アフター オラクル(ORCL)
  • 12/10(水)アフター アドビ(ADBE)
  • 12/10(水)アフター シノプシス(SNPS)
  • 12/11(木)アフター ブロードコム(AVGO)
  • 12/11(木)アフター ルルレモン(LULU)
  • 12/11(木)アフター コストコ(COST)

来週は、FOMCやオラクル&ブロードコムの決算が市場に与える影響に注目したいと思います。

それでは、また👋

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