こんにちは、Saabです。今週の振り返りと来週のトピックです。
(↓)まず要点です。
- 主要指数は3%以上の上昇を記録
- 地域紛争の停戦と利下げ期待が好感
- S&P500とNASDAQのディストリビューションデイは先週からそれぞれ低下
- NASDAQの価格推移は上昇基調、AD Lineは下落基調で対照的
- S&P500の12カ月先PERは21.9倍で、5年平均・10年平均に対して割高感あり
- センチメントは強気に傾いてると感じる
- 住宅関連のハードデータがネガティブだったことが懸念点
- 決算で印象に残る銘柄はなし
- 来週の決算はチェック予定なし
- 来週の経済指標は雇用統計に注目
- 関税・貿易関連/パウエル議長の発言/経済指標などが相場に与える影響に注目
それでは順に詳細をみていきます。
6/23週の振り返り
米国市場
月曜と火曜は、中東情勢の緊張緩和(イラン・イスラエル停戦)や石油価格下落によるインフレ懸念の後退が好感され、それぞれ約1%づつ主要指数は上昇しました。
水曜は、パウエル議長の議会証言で大きな動きはなかったものの、木曜には関税問題の軽視やトランプ氏によるFRB議長の早期指名の憶測が市場心理を支援し、主要指数は0.5%以上の上昇を記録。
金曜も貿易協定の進展や利下げ期待が追い風となり、上昇を継続して、S&P500とNASDAQは史上最高値を更新しました。
その結果、6月のトリプルウィッチング後の週で、比較的珍しい上昇をみせ、各指数は3%以上の上昇となりました。
- S&P500 +3.44%
- NASDAQ +4.25%
- ダウ +3.82%
- ラッセル2000 +3.00%
【S&P500のチャート】
※TradingView提供のチャート

↑今週で史上最高値を更新し、10日(緑)/21日(ピンク)/50日(赤)/200日(グレー)の移動平均線を全て上回りながら推移しています。50日移動平均線が200日移動平均線を上回るのも時間の問題ですね。
Market In Out のAD Lineは今のところ下落をみせていません。
【S&P500とAD Lineチャート】
※Market In Out提供のチャート

ちなみにディストリビューションデイは、S&P500で5回、NASDAQで1回となりました。先週からS&P500は2回カウント数が減少、NASDAQは3回カウント数が減少しました。
来週も引き続き、このディストリビューションデイには注目したいと思います。
【NASDAQのチャート】
※TradingView提供のチャート

↑S&P500同様に、史上最高値&全ての移動平均線を上回っています。また50日移動平均線が200日移動平均線とクロスしていて、S&P500より少し、チャート的には良い印象です。来週早々に50日が200日を上回ると思います。
Market In Out のAD Lineは指数の価格推移と異なり、下落基調となっているのが懸念点です。一方NASDAQ100のAD Lineは上昇を見せているものの、指数の価格推移に比べて息切れ感を感じます。
【NASDAQとAD Lineチャート】
※Market In Out提供のチャート

【NASDAQ100とAD Lineチャート】
※Market In Out提供のチャート

【ダウのチャート】
※TradingView提供のチャート

↑主要指数の中でも出遅れ感はありますが、今週にS&P500同様、全ての移動平均線を上回りました。S&P500とNASDAQと異なり、史上最高値まであと少しです。
Market In Out のAD Lineは今のところ下落をみせていません。
【NASDAQ100とAD Lineチャート】
※Market In Out提供のチャート

※各セクター&カントリーETFは以下参照
リンク
ファクトセット
S&P500の12カ月先PERは21.9倍で、5年平均19.9倍と10年平均の18.4倍を上回っています。
また、実績PERは現在26.9倍となっており、5年平均の24.9倍と10年平均の22.4倍を上回っています。
参考までに、ドットコムバブル時の天井とされる2020年3月の実績PERは約27倍で、コロナ禍から復活したブル相場の天井である2021年12月は約24倍でした。
センチメント
今週は先週と比べてVIXとPut Call Ratioが低下していることから、強気に傾いていると感じる一方、AAIIセンチメントがほぼ変化が見られない状況となっています。
このように「VIX・Put Call Ratio」と「AAIIセンチメント」でアンマッチな感じはしますが、現在の指数の値動きを考慮すると、VIXやPut Call Ratioの方が現在の市場心理を示していると考えます。
- 「VIX」は、先週末の20.62から16.32となり大幅下落。
- 「Put Call Ratio※」は、先週末の0.75から0.67となり先週から下落。
- 「AAIIセンチメント」は先週からほぼ変化なし。
※ INVESTOR’S BUSINESS DAILYの値引用
【VIXのチャート】
※TradingView提供のチャート

↑イラン・イスラエル停戦をきっかけに1週間を通じて下落基調となりました

↑先週から大きな変化はなく、BearishがBullishを上回る状況が継続
Bullish 33.2% → 35.1%
Neutral 25.4% → 24.7%
Bearish 41.4% → 40.3%
経済指標
信頼感指数などのソフトデータは改善が見られるものの、住宅関連のハードデータのネガティブサプライズが気になるところです。
欧・ユーロ圏製造業PMI
6月は49.4で予想49.7を下回り、ネガティブサプライズでした。

生産
4か月連続増加も拡大は鈍化
新規受注
3年超の減少が終了し安定
雇用・購買
雇用は減少、購買縮小も減少幅は限定的
価格
原材料・生産物価ともに下落
信頼感
5月からやや低下
欧・ユーロ圏サービス業PMI
49.7→50.0に上昇し、市場予想と一致。

活動量
4か月連続で増加
成長ペース
6月は鈍化
新規受注
製造業の長期収縮が終了
購買・雇用
購買縮小、雇用は減少加速
価格
原材料・生産物価ともに下落
見通し
製造業の先行きは楽観
米・S&Pケースシラー住宅価格(20都市)
前月の+4.1%から鈍化し+3.4%で予想+4.0%を下回ったことでネガティブサプライズ、これは2023年8月以来で最も緩やかな伸びとなります。

要因と背景
・高基準年の効果により伸びが相対的に鈍化
・長期国債利回りの上昇で住宅ローン金利が上昇、買い手の負担が増加
地域別の傾向
・上昇率が高い都市:ニューヨーク(+8.0%)、シカゴ(+6.0%)、デトロイト(+5.5%)、クリーブランド(+5.2%)
・下落した都市:ダラス(-0.2%)、タンパ(-2.2%)
住宅市場は地域ごとに温度差があり、金利上昇の影響が顕在化し始めていることが読み取れます。
米・コンファレンスボード消費者信頼感指数
・6月は93.0に低下(5月は98.4)し、予想99.7を下回るネガティブサプライズ。
・現在の状況指数:129.1(前月比▲6.4pt)
・期待指数:69.0(▲4.6pt)、不況リスクの基準である80を大幅に下回りました。

下落要因と消費者心理
・企業環境・労働市場の現状と将来見通しの悪化が主因
・雇用状況の評価は6ヶ月連続で低下も、なお堅調な労働市場との整合性あり
・期待指数を構成する「事業環境・雇用・所得」すべてが弱含み
属性別傾向
・信頼感の低下は全年齢層・所得層・政治的立場で広く共有
・共和党支持者で最大の落ち込み
主な懸念事項と期待
・最も頻出の懸念は関税・物価・インフレ
・インフレ期待は12ヶ月先で6.0%に低下(5月6.4%、4月7.0%)
・地政学的リスク・社会不安の懸念も微増
株価・金利・家計感
・株価見通しは回復傾向(株価上昇を予想:45.6%)
・金利上昇を予想:57%で2023年10月以来の高水準
・家計の現状評価はわずかに悪化、将来の財務期待は4か月ぶりの高水準に回復
消費意欲の変化
・自動車購入意向は横ばい、住宅購入は減少
・家電は増加、電子機器は減少
・サービス支出は全体的に減少傾向、ただし外食・フィットネス・旅行(特に海外)は堅調
今後6ヶ月の見通し
・事業・雇用・所得の先行きに悲観的傾向
- 景気改善予想:16.7%(前月19.9%)
- 雇用増加予想:15.4%(前月18.6%)
- 所得増加予想:16.3%(前月18.6%)
米・住宅建築許可件数(確報)
2025年5月は予想(年率139.3万戸)とほぼ一致で年率139.4万戸、これは2020年6月以来の最低水準でした。

要因
住宅ローン金利上昇と輸入関税が需要を抑制
住宅タイプ別
・一戸建て:2.6%減の89.9万戸(2023年4月以来の低水準)
・5戸以上:0.9%増の44.2万戸
地域別
・北東部:9.6%減
・南部:2.6%減
・西部:5.5%減
・中西部:11.9%増
米・実質GDP(確報)
2025年Q1は年率▲0.5%、これは3年ぶりのマイナス成長でした。

主因
・消費支出:+0.5%と鈍化(前回+1.2%)
・輸出:+0.4%(前回+2.4%)に下方修正
その他要素
・輸入:▲37.9%、備蓄による急増で一部相殺
・政府支出:▲4.6%、2022年以降最大の減少
・固定投資:+7.6%、堅調だが初期推計を下回る
米・新規失業保険申請件数
6月21日週は236,000件で市場予想を下回りましたが平均超えを記録。

継続申請
未解決件数は1,974,000件と急増し、2021年11月以来の高水準
雇用状況
失業者の再就職が困難に
政府関連
政府職員の申請は480件で55件減少
米・PCE
総合:2.3%(予想2.3%)、コア:2.7%(予想2.6%)でコアが0.1%のネガティブサプライズでした。

総合
・前月比+0.1%で、4月と同水準・予想通り
・商品価格:+0.1%、サービス価格:+0.2%(前月+0.1%)
コア(食品・エネルギー除く)
前月比+0.2%で予想の+0.1%を上回る
補足
・食品価格:+0.2%(前月▲0.3%)
・エネルギー価格:▲1.0%(前月+0.5%)
米・ミシガン大学消費者信頼感指数(確報)
・先月の60.5から60.7になり上方修正(5月は52.2)
・予想の60.5を上回りポジティブサプライズ
・6か月ぶりに信頼感が改善

現況指数
・63.7→64.8に上昇(5月は58.9)
・個人財政・ビジネス状況の期待は20%以上改善
期待指数
・58.4→58.1に下方修正(5月は47.9)
インフレ期待
・1年後:6.6%→5.0%に急低下(予備見積5.1%)
・長期:4.1%→4.0%(5月は4.2%)
決算
今週は7社をチェック、詳細は以下リンク。
・10%以上値上がりした銘柄
➡NKE
・10%以上値下がりした銘柄
➡なし
6/30週の注目内容
関心のある経済指標&イベント
来週は特に雇用統計に注目!
- 6/30(月) 独・消費者物価指数(速報)
- 7/1(火) ユーロ圏消費者物価指数(HICP)
- 7/1(火) 米・ISM製造業景気指数
- 7/2(水) ユーロ圏失業率
- 7/3(木) 米・雇用統計
- 7/3(木) 米・新規失業保険申請件数
- 7/3(木) 米・ISM非製造業景気指数
関心のある決算
来週はチェック予定なしです。
来週は米中関税休戦の期限や貿易交渉の行方、ECBフォーラムでのパウエル議長らの発言に注目しながら、米雇用統計や各国のPMI/インフレなどの重要指標を横目でみつつ、それらがどのようにマーケットに作用するか気にかけたいと思います。
それでは、また来週👋
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