【米国市場:2025年12月8日週】今週の振り返り & 来週のトピック (市場動向、ETF、FRB政策金利、新規失業保険申請件数、オラクル/ブロードコム/メイシーズなどの決算)

投資関連

こんにちは、Saabです。今週の振り返りと来週のトピックです。

   2025年12月1日週分はこちら

↓主な内容は以下参照。

  • 今週はビックテック依存の高い指数とそれ以外の指数で、週間パフォーマンスの明暗が分かれました(≒ビックテックかそれ以外かとも言える)
  • S&P500とNASDAQはマイナスを記録、ダウ/ラッセル2000/RSPは週間でプラスを記録し最高値も更新
  • 前半様子見→FOMC後上昇→週末のテック主導急落という流れで、ブロードコムのマージン圧力警告がAI関連株の下げ材料となった
  • 素材や金融セクターが好調だった一方、先週パフォーマンスが良かったテクノロジーや通信セクターがマイナスを主導
  • ディストリビューションデイはSP500で3回/NASDAQで6回
  • センチメントは指標など見る限りまだ強気を継続、ただしS&P500のバリュエーションは高い状況が続く
  • 12月のFOMCでは0.25%の利下げが決定
  • ブロードコムは決算クリアにも関わらず、マージン圧力警告で10%ごえの下落を記録
  • 来週の決算は14社チェック予定
  • 来週は、米国の遅延している雇用統計とインフレ指標が市場の最大材料
  • 12/19(金)はトリプルウィッチング

それでは順に詳細をみていきます。

12/8週の振り返り

総括

今週の米国株は、前半の様子見→FOMC後の上昇→週末のテック主導急落という展開でした。FRBの利下げとハト派的示唆で中盤はリスク選好が回復した一方、AI関連の収益性・マージン懸念が再燃し、週末に調整が加速しました。結果として、ダウは循環・金融主導で上昇、ナスダックはテック安で下落と指数間の明暗が鮮明になった週となりました。今後は、インフレ指標と企業の利益率・投資回収の持続性が相場の分岐点となると思われます。

12/8~12/12の動向

12/8(月)週初は下落、FRB見通し再評価
水曜の利下げはほぼ織り込み済みですが、インフレの強さを背景に2026年のFRB政策の先行きを再評価する動きが重荷となり、S&P500は−0.35%、ダウ−0.45%、ナスダック−0.14%となりました。M&A関連でワーナーBros.Dは入札期待から上昇。個別ではコンフルエントがIBMの買収確認で急騰、カルバナはS&P500採用で急伸しました。ブロードコムはカスタムチップ報道で最高値を更新しました。


12/9(火)FOMC前で横ばい
JPMorganが2026年の高い経費見通しを示したことで、主要な株価指数は小動きとなり、S&P500はほぼ横ばい、ナスダック小幅高、ダウ−0.3%となりました。Nvidiaは中国のH200制限観測で小安、Home Depotはガイダンス下方修正で下落。ワーナーBros.Dの争奪戦は引き続き注目しています。


12/10(水)FOMC後に上昇
FRBは25bp利下げを実施、来年の追加利下げ見通しは9月と一致したことで、ダウ+1.1%、S&P500+0.7%、ナスダック+0.4%となりました。パウエル議長は利上げを事実上排除し、追加緩和期待が強化されました。工業株が好調、アマゾンはインド投資計画で上昇、JPMorganも反発しました。一方、マイクロソフトは投資発表後に下落しました。


12/11(木)ダウ最高値、循環株優位
ダウ+1.4%で最高値、S&P500+0.3%、ナスダック−0.3%。高PERテックから循環・バリューへのローテーションが進行。Visaは格上げで急騰、金融株全般が堅調。対照的にOracleの急落を契機にAI投資回収への懸念が再燃し、半導体(Nvidia、Broadcom等)が軟調。


12/12(金)テック急落で週末安
Broadcomがマージン圧力警告で急落し、AI関連半導体(Nvidia、AMD、Micron等)に連鎖売りとなって、S&P500−1.0%、ダウ−0.4%、ナスダック−1.8%と下落しました。FRB利下げは下支え要因ですが、インフレ警戒の発言も意識されています。

その結果、主要株価指数の週間パフォーマンスは以下の通り。

  • S&P500 -0.63%
  • NASDAQ -1.62%
  • ダウ +1.05%
  • ラッセル2000 +1.19%

【S&P500の15分足チャート】 
 ※TradingView提供のチャート

【S&P500の15分足チャート】 

【NASDAQの15分足チャート 
 ※TradingView提供のチャート

【NASDAQの15分足チャート】 

【ダウの15分足チャート 
 ※TradingView提供のチャート

【ダウの15分足チャート】 

※インド・中国・日本などは以下参照
 リンク

【米国株の各セクターの週間パフォーマンス (出典:finviz) 

【米国株の各セクターの週間パフォーマンス(出典:finviz)】 

↑週間で素材や金融セクターを中心にプラス、テクノロジーや通信セクターを中心にマイナスを記録しました。

【S&P500の週間ヒートMap (出典:finviz) 

【S&P500の週間ヒートMap(出典:finviz)】 

↑今週はヒートマップからもわかるように、ビックテックかそれ以外かで週間パフォーマンスの明暗を分けました。

【RSPの日足チャート】 
 ※TradingView提供のチャート

【RSPの日足チャート】 

↑上でふれたヒートマップからもわかるように、ビックテックの下落に反して、他の銘柄が上昇を示していたこともあり、ビックテックの依存が低いRSPでは過去史上最高値を更新。現在全ての移動平均線を上回って推移しています。

【S&P500の日足チャート】 
 ※TradingView提供のチャート

【S&P500の日足チャート】 

↑今週金曜に”Broadcomのマージン圧力警告”がAI関連株の下げ材料となったため、約-1%の下げを記録し10日移動平均線を下回って取引を終了しました。

【NASDAQの日足チャート】 
 ※TradingView提供のチャート

【NASDAQの日足チャート】 

↑S&P500同様に金曜の下げで、いっきに10日移動平均線と21日指数移動平均線を下回りました。金曜の取引中に瞬間風速で50日移動平均線にタッチするも少し反発をみせたことで、何とか50日移動平均線でもちこたえています。

【ダウの日足チャート】 
 ※TradingView提供のチャート

【ダウの日足チャート】 

↑RSPと同様にダウも今週に過去史上最高値をつけました。現在すべての移動平均線を上回って推移しています。

【ラッセル2000の日足チャート】 
 ※TradingView提供のチャート

【ラッセル2000の日足チャート】 

↑RSPやダウと同様にラッセル2000でも一時過去史上最高値を更新しましたが、金曜のAI関連株の下げに巻き込まれて-1.5%の下落を記録しました。現在すべての移動平均線を上回った位置で推移しています。

最後にディストリビューションデイですが、12/12時点では、SP500は3回、NASDAQは6回となっています。週を通じてS&P500はカウント数が2回減少した一方で、NASDAQは1回上昇しました。

週間カウント数の推移
・12/8 SP500:4回/NASDAQ:5回
・12/9 SP500:4回/NASDAQ:5回
・12/10 SP500:4回/NASDAQ:5回
・12/11 SP500:4回/NASDAQ:6回
・12/12 SP500:3回/NASDAQ:6回

米国のセクターETF 年初来パフォーマンス BEST5

今週は先週からの順位変動はなしですがゴールドが他のセクターに対してマージンを拡大した状態となっています。

  1. GLD(ゴールド):62.41%(→)
  2. XSD(半導体):38.76%(→)
  3. XBI(バイオ):36.6%(→)
  4. XLK(テクノロジー):27.28%(→)
  5. XLC(通信):20.66%(→)

カントリーETF 年初来パフォーマンス BEST5

今週は全体的にギリシャ/スペイン/ポーランドなどの欧州が上昇。これによりトップ5にポーランドが復活した代わりに先週5位だったコロンビアがトップ5圏外にはじかれてしまいました。

  1. EWY(韓国):86.6%(→)
  2. GREK(ギリシャ):74.45%(→)
  3. EWP(スペイン):72.24%(→)
  4. EPOL(ポーランド):69%(↗)
  5. AFK(アフリカ):66.71%(↘)

※各セクター&カントリーETFの詳細は以下参照
 リンク

S&P500のバリュエーション

2025年12月12日に発行されたファクトセットのレポートによると、S&P500の12カ月先PERは22.5倍で、5年平均20.0倍と10年平均の18.7倍を上回っています。

また、実績PERは現在28.5倍となっており、5年平均の25.0倍と10年平均の22.9倍を上回っています。

参考までに”Macrotrends LLC” に掲載されている実績PERは、30.40倍となっており、1950/1~2025/11月の平均値18.82を大幅に上回っています。

またドットコムバブル時の天井である2000年3月の29.41倍とほぼ同水準で、コロナ禍から復活したブル相場の天井とされる2021年12月の24.09倍よりも高い値となっています。

※グレーはリセッション

S&P500 Trailing PER 1950/1/1~2025/11/28のグラフ

センチメント

VIX/Put Call Ratio/ブルベア指数/S&P500指数の値動きから強気は継続していると考えます。以下、センチメントに関わる数値などです。

  • 「VIX」は、先週末の15.41から15.74でほぼ横ばい。
  • 「Put Call Ratio」は、先週末の終値0.66から0.64でほぼ横ばい。
  • 「ブルベア指数」は、ブル53.6 vs ベア17.8。
  • S&P500は、金曜の下げにより週間でマイナスを記録、現在10日移動平均線の下で推移しています。

※ INVESTOR’S BUSINESS DAILYの値引用

VIXのチャート】
 ※TradingView提供のチャー

【VIXのチャート】

↑VIXは金曜に上昇はみられたものの、現在は15付近で推移しているため、低い水準をキープしています。

Put Call Ratio(出典:IBD)】

【Put Call Ratio(出典:IBD)】

↑Put Call Ratioは0.7をきっています。

ブルベア指数(出典:IBD)

【ブルベア指数(出典:IBD)】

↑今週はブルが上昇、ベアが下落となり差が拡大しました。

経済指標&イベント

以下、今週確認してきた内容の結果です。

ポジティブサプライズ
なし

ネガティブサプライズ
・米・新規失業保険申請件数

ノンサプライズ
・米・FRB政策金利
・独・CPI

米・FRB政策金利

FRBは12月会合で、市場予想と一致する0.25%の利下げを決定し、政策金利はこれで3.5~3.75%となりました。

↓グレーはリセッション

米・FRB政策金利のグラフ

● 金利決定

  • 9・10月に続く3回連続で、借入コストは22年以来の低水準。
  • 委員会は分裂(大幅利下げ派1名、据え置き派2名)。

● 今後の金利見通し

  • 金利予測は据え置き、2026年に0.25%の1回のみ利下げを想定。

● 経済見通し

  • GDP:25年1.7%、26年2.3%へ上方修正。
  • PCEインフレ:24年2.9%、25年2.4%へ低下予測。
  • 失業率:25年4.5%、26年4.4%で不変。

【総括】
FRBは利下げを継続しつつも、今後の追加緩和には慎重姿勢を維持する方針を発信しました。景気見通しは改善する一方、インフレは緩和基調で、政策はバランス重視に移行している状況です。

米・新規失業保険申請件数

12月6日週は44,000人増の236,000人となり、予想22万人を上回るネガティブサプライズとなりました。これは2020年3月以来の最大増となります。

米・新規失業保険申請件数のグラフ

● 継続申請

  • 11月29日週は183.8万人に減少(4月以来の低水準)。
  • 予想195万人を下回る。

【総括】
初期請求は季節要因で急増した一方、継続請求は低下しており、労働市場は依然として底堅さを保っている。

独・CPI

11月のドイツ消費者物価上昇率(確報値)は前年比2.3%で横ばいとなり、市場予想と一致しました。

独・CPI

● 品目別動向

  • エネルギー:前年比0.1%減。電力・地域熱が下落、暖房用オイル・燃料が上昇。
  • 食品:1.2%と低水準。菓子・肉の上昇を、油脂・野菜の下落が相殺。
  • サービス:3.5%で横ばい。

● 月次動向

  • CPIは前月比0.2%減(1月以来の初下落)。航空運賃・ツアーの季節要因が影響。
  • EU調和CPIは前年比2.6%に上昇、前月比0.5%減。

決算

今週は9社チェックしました。ブロードコムの決算クリアにも関わらず、マージン圧力警告で10%ごえの下落を記録したのは印象的でした。この下落がビックテックが含まれる指数の下げを主導しました。

・10%以上値上がりした銘柄
➡BRZE
・10%以上値下がりした銘柄
➡ORCL, AVGO

2025/12/9 決算発表 ~AZO,OLLI,BRZE~

2025/12/10 決算発表 ~ORCL,ADBE,SNPS~

2025/12/11 決算発表 ~AVGO,LULU,COST~

12/15週の注目内容

関心のある経済指標&イベント

来週は以下の経済指標&イベントに注目です。

  • 12/16(火) 米・住宅建築許可件数(速報)
  • 12/16(火) 米・住宅着工件数
  • 12/16(火) 米・小売売上高
  • 12/16(火) 米・失業率
  • 12/16(火) 米・非農業部門雇用者数(NFP)
  • 12/16(火) 米・平均時給
  • 12/17(水) 米・小売売上高
  • 12/18(木) 欧・ECB政策金利
  • 12/18(木) 米・CPI
  • 12/18(木) 米・新規失業保険申請件数
  • 12/19(金) 米・トリプルウィッチング
  • 12/19(金) 米・PCEデフレータ
  • 12/19(金) 米・ミシガン大学消費者信頼感指数(確報)

関心のある決算

来週は14社チェック予定です。

  • 12/16(火)アフター レナー(LEN)
  • 12/17(水)プレ ゼネラルミルズ(GIS)
  • 12/17(水)アフター マイクロン(MU)
  • 12/18(木)プレ アクセンチュア(ACN)
  • 12/18(木)プレ ファクトセット(FDS)
  • 12/18(木)プレ カーマックス(KMX)
  • 12/18(木)プレ シンタス(CTAS)
  • 12/18(木)アフター ナイキ(NKE)
  • 12/18(木)アフター フェデックス(FDX)
  • 12/18(木)アフター KBホーム(KBH)
  • 12/18(木)アフター ハイコ(HEI)
  • 12/19(金)プレ カーニバル(CCL)
  • 12/19(金)プレ コナグラ(CAG)
  • 12/19(金)プレ ペイチェックス(PAYX)

来週は、米国の遅延している雇用統計とインフレ指標が市場の最大材料と思われるので、それらの材料が市場に与える影響をウォッチしていきます!あと金曜はトリプルウィッチングなので多少の値動きがでるかもしれません。

それでは、また👋

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