インド(BSEセンセックス指数)
総括
今週のインド株は、前半は明確な売り優勢、後半はFRB利下げを受けて持ち直す構図となりました。特に週初は、以下4点が複合的に市場心理を悪化させ、センセックスは3日連続の下落を展開しました。
- 米印貿易協議の不透明感
- トランプ政権の関税警告
- ルピー安
- 外国人投資家(FPI)の継続的な資金流出
一方、後半はFRBの利下げ決定をきっかけに世界的なリスク選好が回復し、金属・金融・インフラ系が強い買い戻しを受けました。ただ、ルピー安とFPI流出の構造的な弱さ、米印関係の不透明感は継続し、週トータルではセンセックスは−0.5%と軟調に終わりました。
市場の次の焦点は、インドの11月インフレ指標→RBIの政策判断となり、金融政策の方向性が年末に向けて改めて注目される展開でした。
【BSEセンセックスの15分足チャート】
※TradingView提供のチャート

12/8~12/12の動向
12/8(月) センセックス反落、リスク回避で全面安
センセックスは−0.7%の85,103となりました。米国との貿易不透明感、FPI(海外資金)の流出でリスク回避姿勢が強まり、RBIの利下げや好調な成長見通しによる支援は相殺されました。主要セクターが下落し、BEL、Eternal、Trent、タタスチール、バジャジファイナンスが大幅安。唯一テックマヒンドラのみ上昇。
12/9(火)2日連続下落、貿易問題とFPI流出が重荷
米インド貿易協議の不透明感が続き、トランプ大統領は関税警告を発し警戒感が高まったことで、センセックスは−0.5%の84,666と11月下旬以来の安値をつけました。海外資金流出も継続し、景気敏感株が下落。アジアペイント、テックマヒンドラ、HCLテク、タタスチールなども下落。一方、Eternal、タイタン、アダニポーツ、BELは反発しました。
12/10(水) 3日続落、FOMC前の警戒強まる
FRBの利下げは織り込み済みでしたが、2026年以降のタカ派的見通しへの警戒が重しとなり、センセックス−0.3%の84,391となりました。Eternal、Trent、エアテル、インフォシス、テックマヒンドラが下落。一方、タタスチールや医薬品、公共株が小幅上昇し下支えとして機能しました。
12/11(木) 反発、FRB利下げでセンチメント改善
FRBの利下げを好感し買戻しが入ったことで、センセックスは+0.5%の84,818で4日ぶりに反発しました。金属・金融・自動車・テック株は堅調。ただし、ルピー安、FPI流出、米印貿易の不透明感は残存しています。タタスチールは子会社買収による戦略投資が材料視され2.6%上昇。11月のインフレ発表(市場予想0.7%)への注目が高まりました。
12/12(金) 続伸も週ベースではマイナス
FRB利下げを受けた世界的なリスク選好が追い風となり、センセックスは+0.5%の85,268で続伸しました。金属、金融、産業が牽引し、タタスチール、Eternal、ウルトラテック、L&T、マルチスズキが1.5〜3.4%上昇。一方、HUL、サンファーマ、アジアンペイントなどディフェンシブ株は弱含みました。週では指数は−0.5%の下落となりました。
【BSEセンセックスの日足チャート】
※TradingView提供のチャート

中国(上海総合指数,深セン総合指数)
総括
今週の中国株は、政策期待→失望→再評価という流れの中で、テクノロジー株を中心に大きな値動きが続きました。週初は半導体国産化の追い風で強く始まりましたが、政治局が刺激策に慎重姿勢を示したことで、市場心理は急速に悪化しました。インフレ指標や政策会議待ちの不透明感も重なり、週半ばはテック株を中心に軟調な展開となりました。
しかし週末には、年次経済計画会議で来年の財政支援が再確認されたことで投資家心理が改善し、指数は反発。全体として、テクノロジー・半導体など成長株の物色は強いものの、政策への期待と失望が交錯し、方向感の出にくい週だったといえます。
【上海総合指数の15分足チャート】
※TradingView提供のチャート

【深セン総合指数の15分足チャート】
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12/8~12/12の動向
12/8(月) テクノロジー主導で上昇
半導体を中心に国産化促進への期待が強まったことで、上海総合は+0.54%、深セン総合は+1.39%となり中国本土株が数週間ぶり高値を記録しました。Zhongji Innolight、Eoptolink、Suzhou TFC などテック株が大幅高。規制当局の資本要件緩和を好感し金融株も上昇しました。米国との関税停戦を背景に11月輸出が予想超えの結果となりました。Moore Threads は前週の急騰後に小反落しています。
12/9(火)政策慎重姿勢で下落
政治局が2026年の国内需要拡大を強調した一方、刺激策に慎重姿勢を示したことで失望売りに繋がり上海総合 −0.37%、深セン総合 −0.39%となりました。政策当局は緩和と金融リスク管理のバランスを模索しています。浙江三花や茅台などが下落。一方、米国トランプ政権が Nvidia の対中H200出荷許可に合意したことが話題になりました。
12/10(水) 物価指標後でまちまち
上海総合 −0.23%、深セン総合 +0.29%。11月CPI が+0.7%と約2年ぶりの高水準だが、PPI デフレは悪化。政治局は刺激策に慎重姿勢を維持し市場心理は弱含み。テック・成長株では Victory Giant、Foxconn Industrial などが下落。半面、Eoptolink、Zhongji Innolight、Moore Threads など一部テックは上昇。
12/11(木) 政策待ちで広範囲に売り
政治局が刺激策に積極性を見せなかったことが重荷となり、テック株が大きく売られたことで、上海総合 −0.7%、深セン総合 −1.27%の下落。中央経済工作会議を前に市場は手掛かり待ちの状態です。ZTE、Suzhou TFC、Foxconn Industrial などが急落。Wingtech は親会社を巡る管理人招集のニュースで下落しました。
12/12(金) 経済支援確認で反発
年次経済計画会議で、消費・投資支援や不動産安定策など広範な財政支援を再確認したことで株価が反発し、上海総合 +0.41%、深セン総合 +0.84%となりました。Eoptolink、Victory Giant、TBEA などが上昇。一方、Moore Threads は急騰後の注意喚起を受け−13.4%と急落しました。
【上海総合指数の日足チャート】
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【深セン総合指数の日足チャート】
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ドイツ(DAX指数)
総括
今週のDAXは、FOMC前の様子見→利下げ好感→米テック安で調整という流れを展開しました。利下げ期待が下支えとなる一方、2026年の政策不透明感とテック評価調整が上値を制限したことによるものです。物色は防衛・産業・金融に向かいやすく、地政学リスクがテーマ株を後押しとして作用しました。週間では続伸を維持しており、今後は米金融政策の持続性と欧州景気・規制動向が焦点となります。
【DAX指数の15分足チャート】
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12/8~12/12の動向
12/8(月) 慎重ながら続伸
DAXは24,056と小幅高で終了し、11月中旬以来の高値をつけました。FOMCを控え、25bp利下げは織り込み済みで、焦点は2026年の政策見通しに移行しています。ヘルスケアと産業株が消費関連の下落を相殺しました。バイエルは格上げで4.5%高、ラインメタルも上昇。銀行株やMTUも堅調でした。一方、GEA、Vonovia、Symriseは下落となりました。
12/9(火)約1か月ぶり高値圏
FOMC開始で慎重姿勢は継続したものの、DAXは0.5%高の24,172となり4日続伸を記録しました。防衛関連が主導し、Hensoldt、Rheinmetall、Renkが上昇。独議会による大型防衛調達承認観測が追い風となったためです。Allianz、独銀、Munich Reなど金融も上昇した一方、Airbus、Freseniusは下落しました。指数外ではThyssenkruppが慎重見通しで急落しました。
12/10(水) 利益確定で反落
FOMCとパウエル発言待ちで利益確定が優勢となったことで、DAXは24,130と小幅安で4日続伸に終止符をうちました。主にテックが弱く、Infineon、Siemensが下落しました。Siemens Healthineers、独取引所、Rheinmetallも軟調でした。一方、米競合の強気見通しを受けてSiemens Energyは大幅高を記録しました。
12/11(木) 利下げ好感で再上昇
FRB利下げによる前向きなセンチメントが、AI関連の逆風を上回ったことで、DAXは0.6%高の24,278と1か月ぶり高値をつけました。Daimler Truckは評価維持とコスト削減策で急伸しました。Brenntag、BASF、Heidelberg Materials、Siemens、Deutsche Postも上昇を記録。Munich Reも中期目標確認で堅調でした。E.ONは規制懸念で下落、SAP、Infineonは小幅安でした。
12/12(金) テック安で反落も週間高
米国発のテック評価懸念(Broadcom、Oracle)が重荷となったことで、DAXは0.5%安の24,186.5となりました。地政学的警戒(NATO発言)も上値を抑制しました。下落銘柄にはSiemens Energy、独銀、Commerzbankなどがありました。一方、Adidas、Pumaは米同業の好決算を材料に上昇を記録しました。週間では+0.7%となり、3週続伸となりました。
【DAX指数の日足チャート】
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日本(日経平均、TOPIX)
総括
今週の日本株は、「米FRB利下げ期待」と「日銀の利上げ観測」という逆方向の要因に揺さぶられつつ、方向感の乏しい展開の中で週末にかけて持ち直しました。週前半は米国半導体セクター改善の恩恵でテック株が買われましたが、植田総裁のタカ派姿勢を受け成長株には上値が重い展開となり、特に11日はソフトバンク急落が全体の地合いを悪化させました。
それでも、最終日は米株の強いリバウンドを受けて全面高となり、指数は週間でプラスを確保しました。市場の焦点は来週の日銀会合に移り、利上げ発表の有無、政策スタンス、今後の金利軌道が日本株の短期トレンドを左右する局面に入りました。
【日経平均の15分足チャート】
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【TOPIXの15分足チャート】
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12/8~12/12の動向
12/8(月) 慎重姿勢の中で小幅高
米FRBの利下げ期待が投資家心理を下支えし、前日の下落分を部分回復したことで、日経平均+0.27%、TOPIX+0.65%となりました。ただし、日中間の地政学的懸念や賃金・GDPの弱い指標が、来週の日銀利上げ観測に不透明感を与え、買いは限定的でした。キオクシア、フジクラ、三菱重工、ディスコ、サンリオが上昇した一方で、AI関連は高値警戒で軟調となり、ソフトバンクGは−3.3%となりました。
12/9(火)ハイテク株主導で小幅上昇
日経平均+0.1%、TOPIX+0.02%。トランプ政権がNvidiaによる中国向けH200出荷を容認し、世界的に半導体セクターのセンチメントが改善。レーザーテックやディスコ、東エレが大幅高。ソフトバンクGも小幅反発。利下げ期待は残るが、2026年以降の政策見通しは依然不透明。夜間の東北でのM7.6地震が投資家心理に重し。
12/10(水) 日銀タカ派姿勢で方向感乏しい
植田総裁が物価目標達成に近づいていると発言し、早期利上げの可能性が意識され株式には上値圧力がかかったことで、日経平均−0.06%、TOPIX+0.12%を記録。来週会合後の総裁コメントが注目点となります。セクターでは半導体株を中心に下落(レーザーテック、アドバンテスト、ディスコが軟調)した一方、円安が輸出株を支援し、ファナック、東エレ、川崎重工が上昇しました。
12/11(木) ソフトバンク急落で全面安
米オラクルが決算失望で時間外−11%となり、共同でAIデータセンター開発を進めるStargate構想への懸念が広がったことが影響して日経平均−0.9%、TOPIX−0.94%となりました。特にソフトバンクGが−7%超の急落が指数に影響を与えました。他の主力株も広く売られ、レーザーテック、フジクラ、三菱重工、サンリオ、任天堂が1.6〜4.6%下落をみせました。FRBは3回目の利下げを実施するも来年のペースは慎重姿勢を示しました。国内では日銀利上げ観測が重しとなっています。
12/12(金) 米株高を受け大幅反発
ダウ・S&P500が最高値更新し、日本株もその流れに追随したことで、日経平均+1.4%、TOPIX+1.98%の上昇を展開しました。米国では利下げをきっかけに高評価AI株から景気敏感株へローテーションが進み、東京市場でも大型株が買われました。ソフトバンクGはデータセンター運営会社Switch買収検討報道で反発しました。他の銘柄ではトヨタ、三菱UFJ、任天堂、キオクシア、フジクラなどが上昇しました。週間では日経+0.8%、TOPIX+1.82%となりプラスを記録しました。
【日経平均の日足チャート】
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【TOPIXの日足チャート】
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ユーロ圏(STOXX 50,STOXX 600)
総括
今週の欧州株は、中央銀行イベント待ちによる様子見と、FOMC後の一時的な安心感、週末のテック安による調整という流れを展開しました。FRBの利下げと緩和示唆は追い風となりましたが、2026年の政策不透明感は解消されず、防衛・金融などテーマ株への選別色が強まりました。週末には米テック株安と英国景気指標の悪化が重なり、指数は再び下押し圧力がかかり週間ではほぼ横ばいで終了しました。今後は、金融政策の持続性と欧州景気の底打ち時期が市場の焦点となります。
【STOXX 50の15分足チャート】
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【STOXX 600の15分足チャート】
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12/8~12/12の動向
12/8(月) 中央銀行週間を前に様子見
FRBの25bp利下げが織り込まれる一方、2026年の政策見通しへの不透明感が投資家心理を抑制したことで、STOXX50はほぼ横ばい、STOXX600は−0.1%となりました。ECBのシュナーベル理事は次の一手が利上げとなる可能性に市場が慣れているとの認識を示しました。個別ではユニリーバが分社化完了後に下落した一方、Ageasは持分取得で上昇しました。TKMSやUBSは業績・人員削減関連報道を受け上昇しました。
12/9(火)FRB前で小幅安、防衛株が急伸
FRB決定を前に積極的な取引は手控えられたことでSTOXX50は−0.1%、STOXX600は横ばいとなりました。EssilorLuxotticaはスマートグラス競争激化、ティッセンクルップは大幅損失見通しで急落しました。一方、ドイツ議会が大型軍需契約を承認するとの報道を背景に、Hensoldt、Rheinmetall、Leonardo、BAE、Thalesなど防衛関連が軒並み上昇しました。
12/10(水) FOMC前の警戒で小幅下落
FRBの政策判断を控え、利下げ後の方針への不確実性が重荷となったことでSTOXX50は−0.3%、STOXX600は横ばいとなりました。Aegonは米国移転・再ブランド化計画で急落。Vinci、Rheinmetallも下落しました。一方、Siemens Energyは米競合の好業績見通しを好感して急伸。Ocadoが大幅高となり、HSBC、ノボノルディスク、ロシュの上昇が下支えとして働きました。
12/11(木) FRB利下げを好感し反発
FRBの25bp利下げと2026年の追加緩和示唆が追い風となり、欧州株は反発したことで、STOXX50は+0.8%、STOXX600は+0.55%となりました。SNBは金利据え置きも緩和余地を示唆しました。RSグループは格上げで急騰。マースク、シュナイダー、ブルネロ・クチネリ、キャップジェミニなどが上昇。ハイテクは米Oracleの弱材料で重く、ASML、Infineon、SAPは小幅な動きとなりました。
12/12(金) 米テック安に連動し下落
米国のテクノロジー主導の売りが波及し、ASML、ASMI、BESIなど半導体株が下落したことで、STOXX50、STOXX600ともに−0.5%を記録しました。一方、仏Wendelは株主還元策を好感して急伸しました。英国ではGDPが予想外に縮小し、景気減速懸念が意識されました。週間ではいずれの指数もほぼ横ばいで終了しました。
【STOXX 50の日足チャート】
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【STOXX 600の日足チャート】
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