調査のきっかけ
現在の米国の代表的な株価指数S&P500のトレーリングPERは、以下のグラフからもわかるように、リセッションの時期(グレーの部分)とその直後を除けば、ドットコムバブル(1995年~2000年の期間)の次に高い水準となっています。

※33.52はドットコムバブルの期間でPER最高値(1999年3月)
※29.41はドットコムバブルの天井をつけた月(2000年3月)
このPERの高水準に加えて、直近の米国の雇用市場に目を転じると、非農業部門雇用者数の低下が著しく、このデータから雇用が冷え込んでいることがわかります。

このような状況下では、マーケットの下落リスクが高いということで、いつになるかはわかりませんが、将来リセッションが到来してもおかしくないと思います。
過去の歴史を振り返ると米国株が大きな下落をみせた後は、その他の投資対象に移行する流れが起きていることから、その他の投資対象となりうるであろう、世界の国々に注目してみました。
切り口としては、経済活動そのものの拡大・縮小を測れる「実質GDP」です。この実質GDPに注目して、過去の実績/将来の見通しを整理することで、今後の成長見込みのある地域や国を抽出してみました!!
地域別の実質GDP成長率
先に結論ですが、南アジアに今後期待がもてそうです。
過去の平均値、2025年や今後の3年or5年の平均値を見たところ、南アジアのみ唯一トップ2以内を維持しており、安定感のある成長を見せてくれそうです。
南アジアは、以下の棒グラフにあるようにバングラデシュ・インド・ブータン・ネパールが比較的高い成長をみせています。
↓成長率の高い”南アジア”の主な国

バングラデシュ・インドが成長をリードする見通し
その他に期待できる地域としては、過去平均の数値は南アジアのように高くないものの、今後3年・5年で目についたのは、東南アジアとサハラ以南アフリカです。
東南アジアでは、フィリピン/ベトナム、サハラ以南アフリカではエチオピア/ギニアなどが高い成長を記録する見通しです。
↓成長率の高い“東南アジア”の主な国

↓成長率の高い“サハラ以南アフリカ”の主な国

カリブ海地域はここ数年、この先数年は1位もしくは2位を維持していますが、これはガイアナがずば抜けて高い成長率を記録していて、この地域を牽引していることによるものです。
ただ、この成長率は “大規模な石油埋蔵量とその急速な商業生産・輸出の拡大によるもの”で、持続的なものでなく一過性のものでしかないため対象外としました。
↓成長率の高い“カリブ海地域”の主な国

ガイアナ(青)は、人口が少ないため石油マネーのインパクトが極端に大きくなり、統計上も世界トップクラスの成長率を示しています。桁がおかしいw
以下、過去10年・5年・3年平均/2025年/今後3年・5年平均の実質GDP成長率を地域別に整理したものです。
過去10年平均の実質GDP成長率

過去5年平均の実質GDP成長率

過去3年平均の実質GDP成長率

(予想)2025年の実質GDP成長率

(予想)今後3年の実質GDP成長率

(予想)今後5年の実質GDP成長率

付録:国別の実質GDP成長率
国別の成長率を色々な期間でランキング化してみました。
過去平均のGDP成長率 トップ30
・桃色=カリブ海地域
・橙色=アフリカ
・えんじ色=ヨーロッパ
・黄緑色=南アジア
・水色=東南アジア
・赤色=中央アジアとコーカサス
・青色=西アジア
・黄色=太平洋諸島
・灰色=東アジア

今後のGDP成長率トップ30
・桃色=カリブ海地域
・橙色=アフリカ
・黄緑色=南アジア
・水色=東南アジア
・赤色=中央アジアとコーカサス
・黄色=太平洋諸島
・灰色=東アジア
・青色=中東
・紫色=南米

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