総括
世界の主要な株式市場は、「AI・半導体の成長期待」と「過熱・収益化不安」の綱引きに加えて、「金利動向・コモディティ市況・政策不確実性」が重なった不安定局面にあります。
米国テック企業の値動きが、各国市場の方向性を左右し、調整局面ではディフェンシブ、内需、資源・金融など循環株へのローテーションが発生しています。
資源国(豪州・カナダ・ブラジル)では鉄鉱石・金・原油のコモディティ価格に連動しやすく、アジア(日本・韓国・中国・香港・インド)では半導体・AI評価と政策期待、中国指標の改善が下支えとなっています。
欧州は、ECBの金融政策と企業の構造転換コスト(自動車・ラグジュアリー等)で選別が進んでいます。
総じて、高ボラティリティ下でテーマ株の調整とセクター循環が常態化し、短期は米テック、CPI・雇用、資源価格が相場の主要ドライバーでした。
欧州(STOXX50,STOXX600)
週初は流動性不安後の安心感で史上最高値を更新しました。
中盤はAI・半導体の高評価懸念(ASML,SAP)と決算の明暗(Vinci,ステランティス)で指数は伸び悩み、ECBの利下げ慎重姿勢が木曜の下押し要因。
週末はテック主導(ASML)で反発しましたが、ステランティスの電気自動車とハイブリッド車の展開加速を目的とした構造転換コストのように企業固有リスクの振れが大きい週でした。
今後の焦点は、①ECBの利下げ姿勢とインフレ動向、②AI関連のバリュエーション調整、③個別企業の再編・M&Aの影響となりそうです。
【STOXX50の週足チャート】
※TradingView提供のチャート

↑週間+0.85%。年初来+3.67%。
(緑:10週移動平均線、赤:40週移動平均線)
【STOXX600の週足チャート】
※TradingView提供のチャート

↑週間+1.00%。年初来+4.19%。
(緑:10週移動平均線、赤:40週移動平均線)
ドイツ(DAX指数)
週初は製造業改善と地政学緩和で上昇しましたが、中盤はAI関連の過熱懸念とテック売り(SAP,シーメンス,インフィニオン)、ECB会合前後の不透明感で調整しました。
週末は決算評価と過度なAI警戒の後退で反発の動き(シーメンス・エナジー,レンク)をみせました。
今後の注目は①AI投資の実効性と企業ガイダンス、②ECBの利下げ姿勢とマクロ指標、③地政学・防衛関連の変動性となりそうです。
【DAX指数の週足チャート】
※TradingView提供のチャート

↑週間+0.74%。年初来+0.91%。
(緑:10週移動平均線、赤:40週移動平均線)
フランス(CAC40指数)
週初は金利高止まり観測を追い風に金融・産業(BNPパリバ,ソシエテ,クレディ・アグリコル,シュナイダー,サフラン,サンゴバン,ブイグ)が主導。
中盤はECB・CPI待ちの様子見の中でエネルギーとラグジュアリーが反発(トタル,LVMH,エルメス,ロレアル)しました。
ECB通過後は利益確定で一服しましたが、週末は好決算(ヴァンシ)と原油・金属の反発(トタル)で持ち直し、週次では堅調な結果となりました。
一方、ラグジュアリーの中国需要不安と自動車(ステランティス)の構造転換コストが個別リスクとして浮上しました。
今後はECBの利下げ指針、資源価格、主要企業の業績の持続性が焦点。
【CAC40指数の週足チャート】
※TradingView提供のチャート

↑週間+1.81%。年初来+1.80%。
(緑:10週移動平均線、赤:40週移動平均線)
イタリア(Milano Italia Borsa指数)
週前半は金融株主導(ユニクレディト,BPER,ジェネラリ,インテーザ)で史上高値圏に到達しましたが、中盤は原油高・中東情勢を背景にエネルギー・公益(エニ,エネル,スナム,テルナ)へ資金がむかいました。
しかしECBの見通し不透明感と国債スプレッド拡大で木曜に急落しました。
週末は金融・資源株(ユニクレディト,インテーザ,エニ)が下支えした一方、ステランティスの構造転換コストとEV供給網リスクが大きな逆風となりました。
今後の焦点は①ECBの利下げ期待とスプレッド動向、②原油・地政学リスク、③自動車の電動化移行コストの顕在化となりそうです。
【Milano Italia Borsa指数の週足チャート】
※TradingView提供のチャート

↑週間+0.77%。年初来+1.95%。
(緑:10週移動平均線、赤:40週移動平均線)
イギリス(UK100指数)
週前半はディフェンシブ株と好決算(アストラゼネカ,GSK,BAT,ユニリーバ)、原油高を追い風に最高値を更新しました。
中盤はAIによる事業モデル毀損懸念でデータ・広告系(RELX,WPP)が重荷となり、金属安で鉱業株(フレスニロ,アントファガスタ,リオ・ティントなど)が下落しました。
英中銀のハト派分裂が利下げ期待を強め、週末は銀行・石油主導で持ち直しの動きがみられました。
今後の焦点は、①BoEの利下げ時期、②コモディティ価格(原油・金属)の方向、③AI影響を受けやすい業種の業績耐性となりそうです。
指数は堅調ですが、セクター間の明暗が鮮明でした。
【UK100指数の週足チャート】
※TradingView提供のチャート

↑週間+1.43%。年初来+4.41%。
(緑:10週移動平均線、赤:40週移動平均線)
インド(BSEセンセックス指数)
週を通じて相場の軸は①米印貿易合意、②政府予算(インフラ・製造業重視)、
③ITセクターの逆風。
外需改善期待で輸出・金融・インフラが主導する一方、AI競争激化と米国IT株安がインドIT株(インフォシス)の調整を誘発しました。
RBIの据え置きでマクロの安心感は維持され、内需(FMCG・銀行)とインフラの相対優位が鮮明となりました。
短期では、貿易協定の具体化と決算の質が株価の選別を左右すると思われます。
【BSEセンセックスの週足チャート】
※TradingView提供のチャート

↑週間+3.54%。年初来-1.96%。
(緑:10週移動平均線、赤:40週移動平均線)
中国(上海総合指数,深セン総合指数)
週の値動きはコモディティ市況(特に金属)と世界的なテック株の地合いに強く左右されました。
AI投資の持続性・過剰投資懸念がテクノロジー株(中技インノライト,ブルーフォーカスインテリジェント,蘇州tfc光学)の上値を抑える一方、春節前の前倒し生産や製造業・サービス業の改善は景気下支え要因となりました。
短期的には金属価格の方向性と米国テックの動向が中国株のセンチメントを左右しやすく、セクター間の資源・再エネ・消費vs テックのローテーションが続きやすい局面となっています。
【上海総合指数の週足チャート】
※TradingView提供のチャート

↑週間-1.27%。年初来+1.97%。
(緑:10週移動平均線、赤:40週移動平均線)
【深セン総合指数の週足チャート】
※TradingView提供のチャート

↑週間-2.11%。年初来+2.00%。
(緑:10週移動平均線、赤:40週移動平均線)
日本(日経平均、TOPIX)
週の主因は①世界的リスクオン/オフの振れ、②AI投資の持続性への懸念、③国内総選挙を巡る政策期待。
前半はテック主導(キオクシア,アドバンテスト,レーザーテック,ディスコ,フジクラ,ソフトバンク)で乱高下、後半は選挙を前にした財政拡張期待とテックの自律反発で持ち直しました。
円安は輸出に追い風でしたが、短期的には米テック動向とAI投資の評価見直しが日本の半導体株の変動要因となりました。
政策面では選挙結果と財政スタンスが内需・金融のセンチメントを左右しやすい局面となっています。
【日経平均の週足チャート】
※TradingView提供のチャート

↑週間+1.75%。年初来+6.36%。
(緑:10週移動平均線、赤:40週移動平均線)
【TOPIXの週足チャート】
※TradingView提供のチャート

↑週間+3.72%。年初来+7.26%。
(緑:10週移動平均線、赤:40週移動平均線)
韓国(KOSPI総合指数)
週初は外部要因(米テック株安、関税・政策不確実性、AI収益性懸念)で「急落
→押し目買いで急反発→過熱感の調整」という高ボラティリティな展開でした。
半導体主導(サムスン電子,SKハイニックス)の構図は不変ですが、短期的には米テック動向とAI関連の評価調整に振られやすい状況となっています。
一方、輸出や産業・電池などへのローテーションが下支えとなっており、構造的な強さと短期調整の綱引きが続く局面となっています。
【KOSPI総合指数の週足チャート】
※TradingView提供のチャート

↑週間-2.59%。年初来+20.47%。
(緑:10週移動平均線、赤:40週移動平均線)
香港(香港ハンセン指数)
週前半はコモディティ価格と米国指標の揺れに振られつつ、製造業・サービス業の改善や政策期待、IPO活況が下支えとなりました。
一方で、週末は米株安とAIによる収益構造変化への警戒で急反落し、週次はマイナス着地となりました。
短期的には米国テックの動向、AI評価の調整、金属価格、CPIが相場のカギとなっています。
春節前の薄商いで値動きが振れやすく、ディフェンシブと内需の選別が続くと思われます。
【香港ハンセン指数の週足チャート】
※TradingView提供のチャート

↑週間-3.02%。年初来+3.28%。
(緑:10週移動平均線、赤:40週移動平均線)
オーストラリア(ASX200指数)
週を通じて豪州株は資源価格と金融政策、AI投資懸念に振り回されました。
前半は金属価格反発で鉱業株主導の戻り(BHP,リオ・ティント)が見られましたが、後半はコモディティ反落とテック株安で急落しました。
RBAの利上げは銀行の収益期待を支える一方、バリュエーションの重しにもなり、資源・金融は相対的に底堅く、テクノロジーは逆風が継続しています。
短期的にはコモディティ市況(鉄鉱石・金・銅)と米国テック動向が方向感を左右しやすい局面となっています。
【ASX200指数の週足チャート】
※TradingView提供のチャート

↑週間-1.81%。年初来-0.06%。
(緑:10週移動平均線、赤:40週移動平均線)
ニュージーランド(NZX50指数)
NZ株は外部環境(世界的リスクオフ、米テック動向、中国PMI)に振られやすい展開でした。
中国指標の改善が追い風となる場面がある一方、米国のテック・AI調整が下押し要因となりました。
国内雇用は強弱混在で、為替を通じて輸出・金利敏感株に間接的な影響あり。
総じて方向感は乏しく、短期は海外指標と米雇用統計次第の神経質な相場が続くと思われます。
【NZX50指数の週足チャート】
※TradingView提供のチャート

↑週間+0.16%。年初来-0.77%。
(緑:10週移動平均線、赤:40週移動平均線)
カナダ(TSX総合指数)
週前半は金・原油の反発を背景に資源株主導で上昇(カナディアン・ナチュラル,サンコール,インペリアル・オイル,セノバス)しました。
週後半は貴金属急落とテクノロジー調整で乱高下(バリック,パナアメリカンシルバー,コンステレーションソフトウェア,ショッピファイ)しました。
最終的には雇用統計とテック・鉱業の反発で週次プラスを確保(ショッピファイ,アグニコ・イーグル,バリック,ウィートン・プレシャス・メタルズ,フランコ・ネバダ)しました。
TSXは資源価格の変動に振られやすく、当面は商品相場と米国テック動向、AI投資への評価がボラティリティの主因となっています。
【TSX総合指数の週足チャート】
※TradingView提供のチャート

↑週間+1.71%。年初来+2.06%。
(緑:10週移動平均線、赤:40週移動平均線)
ブラジル(Bovespa指数)
週前半は利下げ期待と資源高で史上最高値を更新(バーレ,ペトロブラス)しましたが、その後は銀行の資産健全性懸念、財政不安、利益確定で急反落(イタウ,ブラデスコ,ブラジル銀行,b3)しました。
週後半は決算主導の選別物色と循環株高(イタウ,b3)で持ち直しました。
相場のカギは①コポムの利下げペース、②銀行の信用コスト・延滞動向、③資源価格(鉄鉱石・原油)、④財政規律。
金利低下の追い風は中期テーマですが、短期はボラティリティ高めの展開が続きやすいと思われます。
【Bovespa指数の週足チャート】
※TradingView提供のチャート

↑週間+0.87%。年初来+13.55%。
(緑:10週移動平均線、赤:40週移動平均線)
アメリカ(S&P500,NASDAQ,ダウ)
週前半はAI・半導体の割高感、金利上昇、巨額AI投資の収益化懸念、雇用悪化を背景に調整局面となりましたが、週末にディップ買いで急反発(半導体関連ではNvidia,Broadcom,AMDが7%以上上昇)しました。
指数ではダウが優位、ナスダックは相対的に弱い状況となっています。
市場は「AI成長期待」と「投資負担・評価の高さ」の綱引きが続いており、短期的なボラティリティとセクター・ローテーションが続く局面といえます。
【S&P500指数の週足チャート】
※TradingView提供のチャート

↑週間-0.10%。年初来+0.79%。
(緑:10週移動平均線、赤:40週移動平均線)
【NASDAQの週足チャート】
※TradingView提供のチャート

↑週間-1.84%。年初来-1.92%。
(緑:10週移動平均線、赤:40週移動平均線)
【ダウの週足チャート】
※TradingView提供のチャート

↑週間+2.50%。年初来+4.18%。
(緑:10週移動平均線、赤:40週移動平均線)


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